北海道新聞 2000年12月12日(火)夕刊 

終戦直後の出版物マイクロ資料、道立図書館が購入
 

 【江別】 第二次大戦直後の連合軍総司令部(GHQ)による占領下に、道内で出版された雑誌のマイクロ資料(マイクロフィッシュ)を、江別市文京台の道立図書館(岩城信吉館長)が購入し、十二月から館内で閲覧を始めた。東京空襲で札幌などに出版社が移り、出版ブームが起きた道内の終戦直後の様子などを知る貴重な資料として、研究者の注目を集めている。

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 この資料は、終戦直後の日本の出版物を集めた「プランゲ文庫」と呼ばれるコレクションの一部。同図書館はこの文庫の道内分の雑誌六百四十一タイトルのマイクロフィッシュ計千九百四十二枚を約二百万円で購入した。マイクロフィッシュは、シート状のフィルムに、雑誌の各ページのマイクロ画像を撮影してある。

 一九四五年から四九年までに出版された雑誌で、「発明と科学」「北海文学」「英語の友」「働く人びと」といったタイトルが並ぶ。教育や文化にかかわる月刊誌、組合の機関紙など、ジャンルはさまざまだ。

 終戦直後の道内は、操業できる製紙工場があり、紙を入手しやすかったことなどから、東京空襲で打撃を受けた大手出版社が移転したほか、小規模な出版社が次々に生まれ、一時は百数十社に上ったという。このため同文庫の道内の資料数は、東京、大阪に次いで全国で三番目に多い。

 札幌の出版文化史研究家の平沢秀和さん(71)は「言論統制が行われ、紙も少なかった時代から解き放たれ、文芸や組合運動などに関する出版活動が、札幌などの都市部だけでなく地方の村まで広がり、一挙に喜びが爆発したことがわかる」と分析する。

 同図書館北方資料室の大島教子室長は「英語による書き込みもみられ、当時の検閲を知る手掛かりにもなり、研究者にとって第一級の資料。これまで見られなかった雑誌が多く、新しい発見があるかもしれない」と期待し、分類作業を進めている。


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 <プランゲ文庫>
 米国のメリーランド大教授でGHQに勤務していたゴードン・W・プランゲ博士が、検閲制度の終了後、大学に持ち帰り保管していた日本の出版物。図書約八万二千冊、雑誌約一万四千冊、新聞約一万六千タイトルなどに及ぶ膨大な資料で、マイクロ化は、まだ雑誌のみ。今後の作業資金を創出するため昨年十月、東京の出版社が販売を始めた。